第27回（令和6年度） 文芸部門 自由詩 木洩れ陽

木洩れ陽は
いつも　やさしく
私を　みまもってくれる
夏の灼熱のなげきに
そして
冬の落ち葉は、大地へと　かえり
時の流れの　はかなさを　告げる
子ども時代、大樹の下で、ねころび
木の葉のすきまから、こぼれる
光に、まどろんでいた
大人に、なり、かげろうが、ゆらめく
アスファルトに、立ち止まり
まぶたに、手のひらを　あてて
おだやかな場面を　思いだせたら
陽光のきらめきが、包んでくれる
今、想う
母に、連れられていった
風が、ぬけてゆくあの森に、戻りたい
いつかの夏に