おまえは今年もまた「家に帰りたい」「家族と暮らしたい」と短冊に書く。
生活支援員のあの人は淋しげな顔をしておまえの短冊を笹の葉に結ぶ。
「兄貴の介護にはもう限界なんだよ」と愚弟は言い放った。
「優しい女房と元気な子供に恵まれてなんて幸せな野郎だ」とおまえは思っている。
奴はそう言われても自分に与えられた当然の権利を行使しているという感覚しかない。
おまえはノートパソコンを開いてエロサイトを観る。「つまらない」とひとこと言う。
味噌汁を誤嚥で噎せ返りおまえのよだれを顔に吐きかけられても生活支援員のあの人は驚いて笑って見せる。
優しい笑顔には「どうして私だけ?」と悩み抜いた理不尽な深い悲しみの記憶が隠れているのだろうか。
月曜日から夏祭りの準備が始まる。「何か手伝えることはないか」とおまえは考える。
生活支援員のあの人は淋しげな顔をしておまえの短冊を笹の葉に結ぶ。
「兄貴の介護にはもう限界なんだよ」と愚弟は言い放った。
「優しい女房と元気な子供に恵まれてなんて幸せな野郎だ」とおまえは思っている。
奴はそう言われても自分に与えられた当然の権利を行使しているという感覚しかない。
おまえはノートパソコンを開いてエロサイトを観る。「つまらない」とひとこと言う。
味噌汁を誤嚥で噎せ返りおまえのよだれを顔に吐きかけられても生活支援員のあの人は驚いて笑って見せる。
優しい笑顔には「どうして私だけ?」と悩み抜いた理不尽な深い悲しみの記憶が隠れているのだろうか。
月曜日から夏祭りの準備が始まる。「何か手伝えることはないか」とおまえは考える。
作者氏名 | 守隨 秀章 |
---|---|
年齢 | 64 歳 |
市町村 | 佐久穂町 |
障がいの種別 | 身体 |
エピソードや感想 | 園で生活を始めて四年が経ち、家族との違いを詩に込めてみました。 |